鳥と私と少しの詩と

日々の生活や、自然の中で感じたことを詩にしたり、エッセイにしたりしています。

わからないけれど

わからないけれど
春になると
黄色のダッフディルの花がさき
あっちの野原も一面の黄色の花
隣の町も一面の黄色の花
どうしても思わずにはいられない
地中の中で
声をかけあってるとしか
「さあ いくよ」
「ちょっと、待っててね、後で行くよ」
「せーの」
声を掛け合っているような気がしてしょうがない


木々が地中深くコミュニケーションしてると
つい最近わかったんだから
花だってしてるにちがいない
いや
花だけじゃない、
全てのものが
通じ合ってるんだよ
知らないのは人間だけかも
いや、忘れたのは人間だけかも


でも、ずーと昔からわかっていたような気がする

大きな木
すーと空に向かって立って
先がみえないほど
大きな大きな木


小さなハナが木を見上げる
「おーい。上の眺めはどんなだい。」
風がバサーッと吹く
「ああ、今日はいい日だよ、空がどこまでも広がってる。おーい、下の眺めはどんなだい。」
ハナがとびはねて、走り回る
「昨日は雨が降って、地面はぬれてるけど、ダッフディルの花がとてもきれいだよ」


そして、
私は木を見上げて木肌にさわってみる
風がバサーッとふく
こずえがゆれる
木がゆれる
触った私の手もかすかにゆれる
おひさまがさす


そうして私たちは
家路に向かう
また明日ね
といいながら

春の雨

しとしとと土を濡らし
恵をもたらす雨
命は小さな芽となり、大きく夏には成長し
しとしと
春の雨


しとしとと
私の傘をぬらす雨の雫
疲れた心を潤し、なぐさめる、
しとしとと
春の雨


しとしとと
ハナに降り注ぐ雨の雫
ああ、暖かい春が待ち遠しいね
ああ、花畑でねころがりたいね
しとしとと
春の雨

意味

木漏れ日の隙間を通して
目に染みる空の青さ


森の中で
ふっと
目があったその小鹿の
目の中のなにか、暖かいもの


朝の散歩で
突然目の前に出てきたブラックバード
小さな消え入るような足跡


一粒のすきとおるようなしずく
大木の木肌から落ちたそのしずく
世界をうつしだすそのしずく


意味がないといえば終わりだが、
わたしには、どうも何か意味があると思えるのだ
この世界の美しいものたちが
わたしにはなしかけているようでしかたない


いや
意味はないのかもしれない
あってもなくても
どうでもいいのかもしれない

地球儀

米津玄師の地球儀を聞く。なにか懐かしいような気がする。不思議な感覚にとらわれる。
ずーと前からきいたことがあるような。とくに自然の描写がすばらしい。植物が小さな芽をだす。一粒のしずくに反射される外界の美しさ。無垢な小鹿の目。どれもすべて、この地球に生きて値するというなにかメッセージを伝えている。と、同時にこれらは、なんとはかなく消えていく、または壊されるものだろうか。特に人間によって。