鳥と私と少しの詩と

日々の生活や、自然の中で感じたことを詩にしたり、エッセイにしたりしています。

今ここという

いろいろなことがあった日
心がひとつのことで
のみこまれそうになる


でも
夕焼けが
とてもきれいだと思えた
一瞬立ち止まれた
その瞬間に


ああよかった
よかったね
と、だれともなくつぶやく
そんな夕暮れ時

この瞬間

この瞬間
この短い瞬間
音楽はなり
ハナは
凍った
白く凍ったその草原の上を
走る走る
喜びに
生きているという
ただそれだけの
喜びで


あそびをせんとや生まれけん


そんな一節があたまにうかぶ
あそぶために
この一瞬とたわむれるために
生まれてきたのだ
私たち生き物は

春のきざし


きつつきが
空洞になった木を
つつきだした


その音は
森にひびき
こだまし


私と
いっしょに歩く犬まで
とどく
そして、
私たちは
足をとめ
耳をすます


森の生きとし生けるものも
耳をすます


森にこだまする
ひびきわたる


きつつきが
春を告げ始めたのだ

ふるさと





私は小包の住所をかいていた


そして


北海道という字を書いた瞬間、


ああ 雪がふるのだ


雪が、あとからあとから、降りしきる


この雪のない灰色の空に、この家の中に、私の中に


雪は、あとからあとから降りしきるのだ


雪を見たのはいつだっただろうか


雪に触ったのはいつだったろうか


私の心の中に雪がしんしん降り積もる

こころがなくなるということ

外のいろいろに
こころが引っかかって、こころはいつのまにか、しんでしまう
こころのなかの
いろいろなものに引っかかって こころはいつのまにかなえてしまう
こころは どこにある?
私が
じっととまるとき
私が
じっとみつめる小さな木の芽
じっとみつめる小鳥の中に
じっとふみしめるこの小道にあるのかもしれない
でも、私は
なにかちがうものをみている
そこにはこころをうしなわせるものしかないのに
そこにはこころをなくさせるものしかないのに