鳥と私と少しの詩と

日々の生活や、自然の中で感じたことを詩にしたり、エッセイにしたりしています。

どうして、どうして、どうして、という問いはどこへ消えていくのだろう

狭いケージにとじこめられ、身動きすらできない鶏が言う
だれも 私のことなんて 気にかけてくれないのね
自分の糞にまみれ
卵をうむために生まれ、
おてんとうさまが何なのかさえしらない鶏が言う


鉄のバーにはさまれ、向きを変えることができない豚が言う
みんな 自分のことでいっぱいなの 自分のことで
硬いコンクリートの上で、
赤く擦りむけた体で
柔らかな土や緑が何なのかさえしらない子豚が言う


重たいミルクをぶらさげて、足がわるくなった牛が言う
いつになったら 解放されるのかなぁ この苦しみに
空を見上げてそういうが
空はコンクリートの屋根の向こう
生まれてこのかた、いつも子牛を生まされ鎖につながれた牛が言う


ケージの中で、こちらをじっと見ている子犬が言う
お外はどんなかんじかな、かあさんどこにいるのかな
狭いケージの中で、
機械みたいに何度も子犬を生まされ、
疲れた体でよこたわり、ケージの中しか知らないかあさん犬が言う
これが、一生っていうものかしら、と


どうして、どうして、どうして という問いは、どこへいくのだろう
むなしく消えていくのだろうか
誰にもきかれないのだろうか
どうして、どうして、どうして、と
問うしかできないのだろうか、と


あぁ、でも私は思うのだ
私達の流す一粒のなみだ
その一粒の涙が落ちて
土をうるおし、
ケージをこわし
バーをひきちぎり
鎖をはずし、、、 


そして
こんな美しい春の日に
あの動物たちと
この木の下で
休むのだ
こんな美しい春の日に
この丘を見渡す木の下で
みんなで休むのだ
あぁ よかったね たいへんだったね、といいながら